導入事例
丸美珈琲店 大通公園本店
- 業態
- カフェ
- 機器種別
- カフェ機器
“M200 PROFILEで可能になる、コーヒーの味の正確な比較は
バリスタ・鑑定士にとってすごく大切なこと。
いまバリスタが検証したいことをしっかりと詰め込んでいる
このマシンを使うことで、次のステップへ進むことができる。”
札幌市中央区に位置する本店を含め、市内に6店舗を構える丸美珈琲店。代表の後藤栄二郎さんは、コーヒー鑑定のエキスパートとしてスペシャルティコーヒーの普及に長年努めてきました。多くのバリスタが圧倒的な信頼を寄せる〈チンバリ〉から新登場したエスプレッソマシン、M200。M200 PROFIFEシリーズを実際に使用する後藤さんに、その魅力と可能性について、また、札幌の街で豊かなコーヒー文化を発信するさまざまな取り組みへの思いを語っていただきました。
〈チンバリ〉エスプレッソマシンM200 PROFILEの進化と可能性
日本のエスプレッソの味の大部分をつくってきたチンバリには
抽出の圧倒的な安定感がある
チンバリの魅力は圧倒的に普及していること、そしてエスプレッソの抽出の安定感です。コーヒー店はもちろん、イタリアンやフレンチなどの厨房にも古くから入っているのがチンバリで、日本のエスプレッソの味の大部分をつくってきたんだろうと思っています。
実際、自分も最初に買ったスペイン製のエスプレッソマシンの次に手にした、二代目のマシンがチンバリでした。チンバリの特徴は、何よりも抽出の安定感。僕も次第にわかってきたのですが、蒸らし機能の圧の掛け方が高く、コーヒーのエキスの抽出が高いんです。きちっと設定を合わせると、本当にいいコーヒーが出ます。僕個人的には、とりわけ深煎りのコーヒーが合わせやすいと感じます。メッシュを細かくして、しっかりタンピング圧をかけて抽出すると、本当にトロッとしたきれいなコーヒーが出ます。
おそらく、チンバリのエスプレッソマシンをつくる設計士が、エスプレッソの理想を持っているんじゃないかと僕は考えます。それに合わせた抽出圧と抽出のロジックを組んでいるので、そのロースト度合いに合わせた豆を持っていくとピッタリ出てくるんですね。そのことが大切で、それが安定した抽出に繋がっているのだと思います。
業務の中で設定をタッチパネルで簡単に変えられて、
バリスタの意図をより正確に反映できるM200 PROFILEシリーズ
新登場したM200 PROFILEでは、豆に合わせたロジックがより正確に変えられるようになっているのが特徴だと感じています。さらにセッティングの変更がタッチパネルですべて完結しています。そして、変えた設定を可視化できるチャートも付いています。これがすごくわかりやすい。
また2グループ同時抽出でグループヘッドごとに別々の設定ができるため、2杯の味がどう違うのかを、初めてより正確に比べることができるようになりました。僕たち鑑定士にとってこれがすごく大切なことで、いままでは異なる設定での同時抽出ができなかったため、比較の際に時間差が生じ、過去の記憶との擦り合わせでした。それでは正確ではなく、難しかったのです。
M200 PROFILEは、蒸らし時間の設定、抽出圧の高い段階の時間の設定、そして、後半部分の圧を下げられる時間の設定が可能なことで、バリスタの意図をより正確に反映することができるようになっていると思います。特に圧の調整によって、焙煎豆の鮮度によるガスの出方をコントロールすることができる。
競技会などでバリスタの知識の積み重ねが進んだいまだからこそ、
より明確な検証ができるM200 PROFILEが活かせる
きっと10年前にこの機械があっても宝の持ち腐れで、バリスタの理解がそこまで進んでいない。2000年以降さまざまな大会を経て、バリスタ委員会の方で検証も進んできました。この検証は単純に技術を競っているのではなく、ロジックの積み重ねなので、一般的に多くのバリスタに知識があり、焙煎の知識もある状態になっている。そうした現在だからこそ、この高いレベルのマシンが活かせるのだと感じています。
いまバリスタが検証したいことを、しっかりと詰め込んでいるのがM200 PROFILEだと思います。しかも、業務の中で設定を簡単に変えられて、より明確で高い検証ができるため、まだ発売して間もないですが、使っていくうちに、バリスタもその次のステップへ進むことができるのではないでしょうか。
M200の進化した基本機能とデザイン
──スマートボイラー・ドレンパンの高さ調整
チンバリはスマートボイラー(※)によって、スチームが安定しています。通常のスチームは、最初が強くて後半緩くなる変化があります。スチームに関して、チンバリでやりづらいと思ったことはないですね。実際に使っていて、スチームのパワーが強いと横に出過ぎて縦に入っていかないので、液体が分離してしまって一体感をだすのが難しいメーカーのマシンもありました。そのあたりチンバリは完璧です。
※スマートボイラーは、チンバリの世界特許機能。ボイラー圧をセンサーで感知し、こまめに給水するため、通常のボイラータンクよりボイラー圧の変動が少なく、常に安定したスチームを供給できる。
また、いままでドレンパンの高さの調整ができず、エスプレッソを淹れるためにわざわざ台を置いたりしていました。液体の出口のところから5cmを超えてくると、重力で液体に勢いがつくんです。そうすると、液面に対して空気を含ませるんですね。エスプレッソの抽出ですごく重要なクレマがきれいにできるはずだったのに、ブレイクさせてしまう。M200ではドレンパンの高さ調節が可能なため、エスプレッソをきれいに淹れる最適な高さにできますし、下のスペースは有効活用することもできます。
デザインも高級感があってかっこいいですよね。フェラーリなど、イタリア車の流線形もイメージしました。
歴代のチンバリのデザインを担当し、多数の一流ブランドのプロダクトデザインに携わる、
ヴァレリオ・コメッティの設計によるM200。
エスプレッソマシン トラディショナル
セミオートタイプ
[チンバリ]
豊かなコーヒー文化を札幌で広めること
スペシャルティコーヒーの魅力を多くの人に伝えたい
昔以上にコーヒーは知的な飲み物に変わっている
僕も魅了されたスペシャルティコーヒーの魅力を多くの人に知ってもらいたいという思いがあります。ただ、それはまったく新しい、存在していなかったものを出すということで、いわば、いままでにない需要をつくること。そのためには、お客様にその背景を知ってもらい伝えることが重要です。背景の理解がその価値をつくり、テイストの理解に繋がっている。昔以上にコーヒーは知的な飲み物に変わっていると思います。
札幌の人口も減っているので、市場の活性化のためにはインバウンドの獲得が必要です。そこで、札幌が日本の中で、多くのカフェがあって食が豊かなポートランドやシアトルのような立ち位置になればいいなと思い、そこで自分たちは一番いいコーヒーを出せることを目指しています。
豊かなコーヒーの文化を札幌の魅力として発信
僕が取り組んでいるのは、スペシャルティコーヒーの普及です。「Sapporo 珈琲マルシェ」もその一環で行っています。Sapporo 珈琲マルシェは、いまコーヒー豆の販売では全国で一番の規模になっていると思います。プロが来場するSCAJ(ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション)などと違って、一般のお客様が買いに来られているのが特徴です。このマルシェ5回を経て、コーヒー好きの人が多い都市ランキングとして知られる、総務省のコーヒー年間支出額の統計で、2020年に初めて札幌が全国1位になりました。
札幌のコーヒー市場がどんどん活気づくことを求めて、今回、札幌を代表する夏のイベント「さっぽろライラックまつり」(2023年5月開催)に、日替わりで札幌のコーヒー店が12店舗登場するコーヒーブースを出させてもらいました。それで、札幌市のホームページに初めてコーヒーのカテゴリーでピックアップされました。札幌はいま素晴らしいコーヒーの街であるということが、ホームページに出ています。札幌には、自家焙煎のコーヒー店舗がたくさん(6軒も)あります。こんなに多様性があり、それを豊かに受容できる札幌という街は魅力的ですよね。出展は、そのことに気づいてもらうきっかけのひとつでした。
ラテアート大会や競技会の真の目的は、さまざまな知見を積み重ねて、
コーヒーの消費量を増やす販売に繋げること
僕たちはあくまでコーヒーの生産国ではないので、できることは販売することなんですね。ラテアートの大会や、競技会、ハンドドリップの大会も、チャンピオンになることが目的ではなくて、さまざまな知見を積み重ねて、商品を売ること、コーヒーの消費量を増やすことが目的だと思っています。
スペシャルティコーヒーが市場としてもまだまだこれからで、確立するにはあと20年はかかると思っています。その変化の過程にあるからこそ、知見があるバリスタがどう向き合っていくのか、競技会に意味があると考えています。